業務委託の契約終了は30日前予告が原則|フリーランスエンジニアが次の案件を決める段取り

この記事の結論
6か月以上続いた業務委託の契約終了は、更新しない場合も含めて30日前までの予告が必要です。予告期間を使って次の案件探しを始めるのが大切です。
- 更新の通算で6か月以上なら、不更新も予告の対象になる
- 災害や再委託元の解除など、予告が不要な例外は5つある
- 予告を受けたら終了理由の開示を書面やメールで求められる
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業務委託の契約終了は、6か月以上続いている契約であれば、発注者が少なくとも30日前までに予告しなければなりません。2024年11月に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)で定められたルールで、契約を途中で解除する場合だけでなく、期間満了で更新しない場合も対象です。
フリーランスのエンジニアにとって、契約の終わりは収入が途切れるリスクと隣り合わせです。「来月で終了です」と急に告げられ、次の案件が決まるまで数週間の空白ができてしまった、という話は珍しくありません。
一方で、30日前の予告ルールを知っていれば、急な終了を告げられたときに確認すべきことが分かり、予告期間を次の案件探しに使う準備もできます。
以下では、予告が必要になる条件、予告が不要になる例外、終了理由の聞き方、そして予告から30日で次の案件を決める段取りを順に解説します。
こんな悩みはありませんか
- 急に「今月で契約終了」と言われて困っている
- 契約を更新しないと言われたが、理由が分からない
- 自分の契約が30日前予告の対象になるのか知りたい
- 契約が終わるまでに次の案件を決めたい
この記事で分かること
- 30日前予告が必要になる契約の条件
- 予告が不要になる5つの例外
- 契約終了の理由の開示を求める方法
- 予告から30日で次の案件を決める段取り
- 予告なしで終了を告げられたときの対処法
この記事を読めば、契約終了を告げられたときに確認すべきことと、次の案件へ空白なく移るための動き方が分かります。次の案件探しは、スキルシートをすぐ出せるかどうかで速さが大きく変わります。まずは無料でスキルログに登録し、今の案件の経験を書き留めておきましょう。
予告が必要なのは、6か月以上続く「継続的業務委託」を解除する場合と、更新しない場合です。短い契約の更新を重ねて通算6か月以上になった場合も含まれます。
この予告義務を負うのは、従業員を雇っている企業など、法律上の「特定業務委託事業者」です。エンジニアが受ける案件の発注者は、ほとんどがこれにあたります。
更新の通算で6か月以上なら対象になる
対象になるのは、6か月以上の期間で行う業務委託と、契約の更新によって6か月以上継続して行うことになる業務委託です。たとえば3か月契約を1回更新して通算6か月を迎える場合は、最初の契約書が3か月でも対象になります。準委任の月額契約を毎月更新しているケースも、通算の期間で判断されます。
「更新しない」も予告の対象になる
公正取引委員会と厚生労働省の運用基準では、契約が満了する日から1か月以内に次の契約を結ばないことを「不更新」と呼び、予告の対象に含めています。切れ目なく更新されてきた契約を更新しない場合や、継続的に発注してきた取引を止める場合がこれにあたります。
具体的なケースごとに整理すると、次のとおりです。
| ケース | 30日前予告 |
|---|---|
| 6か月契約を途中で解除する | 必要 |
| 3か月契約を更新して通算6か月以上になった後、更新しない | 必要 |
| 毎月更新の準委任契約が1年続いた後、更新しない | 必要 |
| 最初から3か月だけの単発の契約が満了する | 法律上は不要 |
| 一回限りであることが明らかな業務が終わる | 不要(不更新にあたらない) |
予告は書面やメールで行われる
予告の方法は、書面の交付、ファクシミリ、電子メールなどのいずれかと決められています。メールやチャットで予告を受けた場合は、記録が残るよう保存しておきましょう。口頭だけで「来月で終わりです」と伝えられた場合は、日付の入った文面で送ってもらうよう依頼して構いません。
業務委託の契約終了で予告が不要になる5つの例外
災害などのやむを得ない事由、再委託元の契約解除、30日以下の個別契約、フリーランス側の重大な責任、本人の事情による長期間の発注なし、の5つの場合は予告が不要です。
運用基準で定められている例外は次の5つです。これらに当てはまらなければ、契約書に「いつでも解除できる」と書かれていても、30日前予告の義務はなくなりません。
- 災害その他やむを得ない事由により、予告することが困難な場合
- 再委託をしている場合で、元の委託契約が解除され、業務の大部分が不要になった場合など
- 基本契約に基づく個別契約や、更新を重ねる契約のうち、契約期間が30日以下の1つの契約を解除する場合
- フリーランス側の責任により、直ちに解除する必要がある場合
- 基本契約がある中で、フリーランス側の事情により相当な期間(おおむね6か月以上)発注がない場合
SESの商流では再委託の例外に注意
エンド企業から元請け、元請けからエージェントへと仕事が流れる商流では、エンド企業との契約が解除され、自分に任されていた業務の大部分がなくなった場合、予告なしで契約が終わることがあります。プロジェクトが突然中止になったときなどです。商流が深い案件ほどこの例外が起こりやすいため、日頃から次の案件の候補を持っておくことが自衛策になります。
経歴やスキルの詐称は即時解除の理由になり得る
フリーランス側の責任として運用基準が挙げている例の一つに、業務委託の条件となる経歴や能力を詐称した場合があります。スキルシートで経験を大きく盛ると、参画後に発覚したときに予告なしで契約を解除されるおそれがあります。経験は正直に、そのうえで伝え方を工夫するのが鉄則です。
業務委託の契約終了の理由を聞く方法
予告を受けた日から契約が満了する日までの間に請求すれば、発注者は遅滞なく終了の理由を開示しなければなりません。
理由の開示は書面やメールで求める
理由の開示を請求できるのは、予告がされた日から契約が満了する日までの間です。発注者は、書面、ファクシミリ、電子メールのいずれかで理由を示す必要があります。「今後の参考にしたいので、契約を更新しない理由を教えてください」と、メールで穏やかに依頼するとよいでしょう。
開示されない例外もある
理由を開示することで第三者の利益を害するおそれがある場合や、ほかの法令に違反することになる場合は、開示しなくてもよいとされています。たとえば、エンド企業の機密に関わる事情で終了する場合などです。
理由は次の案件選びに活かす
「予算の縮小」なのか「求めるスキルとのずれ」なのかで、次にとるべき行動は変わります。スキルのずれが理由なら、次の案件では自分の得意分野に近い案件を選ぶ、足りない技術を補うといった判断の材料になります。
予告を受けてから30日で次の案件を決める段取り
予告の30日は、スキルシートの更新、複数経路での応募、面談、契約確認を進めるのに十分な期間です。最初の1週間でスキルシートを整えるのが鍵になります。
次の案件の参画日を今の契約の終了日に合わせるには、次のような日程で動くのが目安です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1〜3日目 | 予告の日付と終了日を確認し、必要なら理由の開示を求める |
| 3〜7日目 | 今の案件の役割と成果をスキルシートに追記する |
| 7〜20日目 | エージェントや知人など複数の経路で応募し、面談を受ける |
| 20〜30日目 | 次の契約条件を書面で確認し、現場の引き継ぎを終える |
最初の1週間でスキルシートを更新する
いちばん時間を取られやすいのが、スキルシートの更新です。今の案件の担当範囲、使った技術、成果を書き足すだけでも、思い出しながら書くと数日かかります。案件が終わる前にやっておくべき更新の手順はスキルシートはいつ更新する?案件終了前にやるべき棚卸しと更新方法【2026年版】で詳しく解説しています。
日頃からスキルログに案件の経験を記録しておけば、予告を受けた当日に最新のスキルシートを出せます。予告期間の30日を、書類づくりではなく応募と面談に使えるのが大きな差です。
複数の経路で同時に案件を探す
1つのエージェントだけに頼ると、紹介される案件の数とタイミングに左右されます。エージェント、過去の取引先、知人の紹介など、複数の経路で同時に動きましょう。経路ごとの特徴は【2026】フリーランスエンジニアの案件獲得法|営業・エージェント・紹介を徹底比較で比較しています。
面談と契約条件の確認を進める
面談では、今の案件で担った役割と成果を短く説明できるよう準備しておきます。面談の進め方はエンジニアの案件面談対策|スキルシートを武器に通過率を上げる5つのポイントを解説が参考になります。次の契約が決まったら、報酬や支払期日が書面やメールで示されているかも忘れずに確認しましょう。
予告なしで業務委託の契約終了を告げられたら
まず例外にあたる事情があるかを確認し、なければ予告期間を踏まえた終了日を発注者と話し合います。解決しない場合は相談窓口を利用しましょう。
例外にあたるかを確認する
6か月以上続いた契約で、前述の5つの例外にあたらないのに予告なく終了を告げられた場合は、法律違反の可能性があります。まずは、終了日と理由をメールで確認しましょう。予告義務に違反している場合でも、終了の理由の開示を請求することはできると解されています。
解決しなければ相談窓口を利用する
当事者間で話がまとまらない場合は、厚生労働省の委託で運営されている「フリーランス・トラブル110番」に無料で相談できます。弁護士が対応し、和解あっせんの手続きも無料で利用できます。
まとめ
6か月以上の契約なら終了には30日前予告が必要です。予告を受けたら理由を確認し、最初の1週間でスキルシートを整えて次の案件探しを始めましょう。
業務委託の契約終了は、更新の通算も含めて6か月以上続いた契約であれば、途中解除でも不更新でも30日前までの予告が必要です。予告が不要になるのは5つの例外に限られ、予告を受けたら終了の理由の開示も求められます。
大切なのは、予告の30日を次の案件探しに使い切ることです。日頃から案件の経験を記録しておけば、予告を受けた日からすぐに動き出せます。
よくある質問
契約終了の予告について、エンジニアからよく寄せられる質問をまとめました。
契約書に「1か月前に通知すれば解除できる」とあれば有効ですか?
6か月以上続く契約では、法律が定める30日前予告の義務が優先されます。あらかじめ一定の事由があれば予告なく解除できると定めていても、直ちに予告が不要になるわけではなく、5つの例外にあたらない限り予告は必要です。
3か月契約の更新が1回だけの場合も対象ですか?
3か月契約を1回更新して通算6か月以上になる場合は、継続的業務委託として対象になります。一方、最初から3か月だけの契約で更新もない場合は、30日前予告の義務の対象外です。
エージェント経由の案件では、誰が予告するのですか?
予告の義務を負うのは、エンジニアと直接業務委託契約を結んでいる相手です。エージェント経由の場合は、多くの場合エージェント会社が予告することになります。
フリーランス側から契約を終了する場合も30日前の予告が必要ですか?
フリーランス新法の予告義務は、発注者側に課されるものです。ただし、契約書に解約の予告期間が定められていればそれに従う必要があるため、自分から終了を申し出る前に契約書を確認しましょう。
予告期間中も報酬は支払われますか?
予告期間中も契約は続いているため、契約どおりに業務を行えば報酬は支払われます。予告期間中に稼働を減らすよう求められた場合は、報酬の扱いを書面で確認しておきましょう。
ここまでの内容を踏まえて、まずは今の契約の期間と更新の経緯を確認し、あわせてスキルシートを最新の状態にしておきましょう。

